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牛肉界のエンターティナー ラン尻サーロイン

安堂光明会長が冷凍庫から取り出して来た2枚のステーキ肉。
「こっちはリブロース。こっちはサーロインの端の方で半分がランプ肉。味比べをしてみたらどう?」
これは、ステーキ好きにはたまらない課題です。さっそく、2枚を同時に調理してみることにしました。

一枚なのに二つの違う部位が共存?

リブロース(下)。ラン尻サーロイン(上)のスジより下がサーロインで上がランプ。
▲リブロース(下)。ラン尻サーロイン(上)スジの下がサーロインで上がランプ。

いただいたお肉は、ジャージー牛(経産牛)のお肉を熟成させたもの。2枚とも同じ牛の違う部位です。
写真の下は、リブロース。牛の背中の肋骨(リブ)に付いている部位で、肩ロースとサーロインの間にあります。黒毛和牛なら見事な霜が入るところですが、ジャージー牛で出産後のおばあさん牛なので少々控えめです。
写真の上が、サーロインでお尻に近いお肉。つまり、背中とお尻の境目あたりの部位です。真ん中の白いスジから下はサーロインで上はランプ肉という二重構造を持っていて、まさしく希少部位。これを「ラン尻サーロイン」とか「ランカブリ」などとも呼ぶそうです。

熱したフライパンに載せると、熟成肉独特のナッツにも似たいい香りが立ち込めました。味付けは塩と黒こしょうのみで、素材の味わいを引き出します。焼き加減はミディアムレア。経験上、熟成肉はこの焼き加減がベストです。

肉を焼いている様子

いざ、実食

ミディアムレアで焼いたリブロース(下)とラン尻サーロイン(上)
▲ミディアムレアで焼いたリブロース(下)とラン尻サーロイン(上)

まずは、リブロースから口に入れました。さすが熟成肉です。歯で簡単に切れる柔らかさ。噛めばジュワーと肉汁が溢れ、濃厚なうま味が口中に広がります。脂もクセがなくていくらでも食べられそうです。
次にラン尻をと思いながら、一瞬、迷いました。スジより下のサーロインから行くのか、上のランプから食べるのか…。最初に口にしたのは、食べ慣れたサーロインでした。
うん、やはりこれも柔らかくて、赤身なのに脂がのっている感じの美味しさがあります。さっき食べたリブロースより少し硬めですが、さすが熟成肉です。十分に柔らかくて、美味しくいただきました。
さていよいよランプ肉の番です。スジを切り離して、口に入れました。噛むとサーロインとは明らかに違います。歯ごたえがあり、噛むほどに赤身肉らしい味わいがにじみ出てきます。小さいけれど、肉肉しい。そんな感覚です。

もう一度食べるとしたらどっち?

食べ比べた結果、リブロースの方が全体的には柔らかくて美味しくいただけました。味わいはリブロースに軍配です。ところが、次にどちらを食べたいかと聞かれると、記者はラン尻をチョイスします。サーロインを食べて、ランプを味わい、またサーロインに戻る。ちょっとスジもあるけれど、1枚のステーキで二つの部位が味わえる楽しさがあります。そうです。ラン尻は、牛肉界のエンターティナーなのです。

では、さらなる牛肉珍味を求めて、まだまだ旅は続きます。