幻の無角和牛で、懐かしの「あみ焼き」
今回は、岩国市周東町高森に生まれ育った安堂光明・安堂グループ会長が、子どものときから慣れ親しんだ「お袋の味」を再現することにしました。安堂グループ直営レストラン・高森亭でも人気の「あみ焼き」です。しかも、昭和30年代には山口県の牛肉の主流だった無角和牛(詳しくは歴史物語第27・28話)です。現在では、200頭ほどが肥育されているのみです。安堂会長なつかしの家庭料理、それはすなわち高森の郷土料理。さて、どんな味わいになるのでしょう。

無角和牛はその名の通り角のない牛です。大正9年に欧米から輸入されたアンガス牛と黒毛和牛の掛け合わせにより生まれました。特にモモ・カタ・バラの肉付が良く育てやすいアンガス牛の性質を受け継ぎ、昭和40年代初めまでは、黒毛和牛と同程度の生産頭数を誇りました。
しかし、次第にサシの入った霜降り肉が消費者に好まれるようになると、サシが入り難い無角和牛は人気を落としてゆくのでした。
とろこが、近年の健康志向の高まりから、脂身が少なくて赤身肉の深い味わいが楽しめる無角和牛がメディアで取り上げられることとなり、その人気は高まっています。ただし、生産頭数は増えず、現在では幻の牛肉と言われています。
安堂畜産は、無角和種繁殖センター(山口県阿武町)から出荷された無角和牛を買い付けて、肥育・加工・流通を担っています。
今回は、無角和牛の特徴を際立たせるために、同じ部位の黒毛和牛と比較しながら味わってみました。見ただけでも、どっちが無角和牛なのか一目瞭然です。
炙り焼き
網を使って炙り焼きにすると、お肉の余分な脂が落ちて、ヘルシーになります。黒毛和牛からは炎が上がり、脂が落ちているのがわかります。一方、無角和牛からは炎は出ず白い煙が立ち込めるのみです。もともと脂の少ないお肉から、さらに脂分が削がれている感じがします。

醤油ダレに潜らせる
炙ったお肉は、予め用意していた醤油ダレに潜らせて味を付けます。この醤油ダレこそ、味の決め手です。記者が作ってみて、美味しかったレシピを紹介しましょう。なお、ご飯と一緒に食べるのに良く、冷めても美味しい濃いめの味付けです。

【あみ焼きのための醤油ダレ】
〇材料
- みりん:大さじ2
- 酒:大さじ1
- 醤油:大さじ4
- 砂糖:大さじ1
- ごま油:小さじ1
- すりおろしたニンニク:小さじ1/2(お好みで)
〇作り方
- みりんとお酒を火にかけてアルコールを飛ばした後、その他の調味料等を入れて、ひと煮立ちしたら完成。
では、実食

まずは黒毛和牛を食べてみました。炙り焼きしてもやはりサシの入ったお肉です。あっさりのなかにも脂の美味しさが相まって、これはこれでとても美味しい。ご飯に載せると、ご飯にタレが染み込んで、何杯でも食べられそうです。
次にいよいよ無角和牛を食べてみました。こちらは肉の厚みを感じる食感。脂が削がれたあっさり感のなかにも、赤身肉の濃厚なうま味が感じられる。黒毛和牛が若者向けのガッツリ系だとすると、無角和牛はじっくり味わう大人の味です。
「冷めても美味しくてね~」と安堂会長はしみじみ語ります。
網で炙り焼きすることにより余分な脂が落ちる。その後にタレを付けることでタレが焦げることもない。さらに、脂が落ちているだけに、肉へのタレの染み込みも良い。冷めても美味しいのは、肉に充分染み込んだタレがいい仕事をするからだと、冷めたあみ焼きを食べながら記者は思うのでした。
【お買い物情報】
幻の牛肉、無角和牛の販売は、毎月中旬。安堂グループ直営・肉のこーべや玖珂店の店頭に並びます。遠方の方は通販サイト・JAタウンで予約販売を受け付けています。
では、牛肉珍味の旅はまだまだ続きます。