希少部位「ハバキ」は焼いてよし!煮てよし!

前回、センボン筋をハバキから採って料理しました。牛半頭でたった300g程度という超希少部位の美味に酔いしれたものです。
さて今回は、そのセンボン筋を採った後に残ったハバキ(写真、奥のお肉)を料理することにしました。牛半頭で1.5kg。これもやはり希少部位なのです。

▲ハバキと切り出したセンボン(手前)

ハバキは牛の後ろ脚の付け根の外側(外もも)にある部位です。運動量の多い筋肉なので、センボン筋も含んで、筋が多く、脂身のすくない赤身肉です。しかし、筋がたくさん入ったセンボン筋が意外に柔らかくて美味しかったことから、その柔らかさや美味しさに期待感が増します。

焼肉にしてみる

さっそく、薄めに切って焼肉にしてみました。

▲焼肉用にスライスしたハバキ
▲両面を軽く焼いて塩・胡椒でいただく

両面をさらっと焼いて、塩と胡椒のみで食べてみました。すると、やはり期待通りというか、それ以上に柔らかい食感。適度な弾力もあります。そして、お肉のうま味が広がりました。センボン筋のようなコリコリした独特な食感こそありませんが、センボン筋と変わらない濃厚な味わいに、スタッフも笑顔になりました。

ビール煮で分厚いハバキにかじりつく

薄めにカットした焼肉を食べた後は、分厚い肉の塊にかぶりつきたい衝動に駆られました。
そこで、夏らしくビール煮に挑戦です。
玉ねぎを黄金色になるまで炒めておいて(実はズルして、炒め済みのレトルトを使いました)、そこに小麦粉をまぶした厚めのハバキを投入。表面に焼き色が付いたらビールを豪快に注ぎます。煮込むこと30分程度。塩と砂糖でお味を調えたら完成です。

▲ハバキのビール煮

厚さ1.5cmくらいのハバキにかぶりつきました。前歯で嚙み切るのに少し手こずりましたが、ちょっとしたビールの苦みに相まって、噛めば噛むほどハバキの濃厚なうま味が染み出てきました。
食べやすい大きさにカットしてスタッフにも振るまうと、これもまた好評です。ビール煮をつまみに、やはりビールが欲しくなりました。

すき焼きにしてみる

〆にはやはり、ご飯に合う料理をということで、すき焼きを思いつきました。一応、インターネットでレシピを探してみましたが、ハバキは焼肉か煮物が主ですき焼きの例はほとんどありません。やや不安を感じながらの調理になりました。
夏場のすき焼きなのでさっぱり感が欲しくて、割り下に麵つゆを使用しました。具材には、ミョウガやトウミョウを入れています。

▲ハバキのすき焼き

思った通り、スライスしたハバキはとても柔らかくて、つゆが染みこんでとっても美味しい。ミョウガがまた良い仕事をしてくれています。ご飯をお変わりしたくなる。そんなハバキのすき焼きを、スタッフと一緒にいただきました。あ~美味しかった!

名前の由来をAIに聞いてみたら…

ハバキという名前の由来が気になってAIに聞いてみました。すると、こんな答えが返ってきました。
―― 牛肉の部位のハバキは日本刀の鞘(さや)に刀を固定する部分「鎺(はばき)」に由来します。刀を鞘に収める際にカチッとはまる様子から、牛肉の部位で骨と肉を繋ぎ止める部分を「ハバキ」と呼ぶようになったとされています。――

ハバキは牛の体にとって、足をカチッと固定する重要な筋肉ということ。そんな重要な筋肉が、食べてもまた美味しい。さらに、そのハバキの中にはセンボン筋という特別に美味しい部位が含まれている。
これを知った後で食べるハバキは、さらに格別な味わいになることでしょう。

では、牛肉珍味の旅はまだまだ続きます。