三角バラ(カルビ)の端と端を食べ比べ

当コーナーでは、実に様々な部位を取り上げてきました。特に、希少と言われる部位や、焼肉屋や食卓ではほとんど食べられることのないような部位をあえて選んできました。まさしく「牛肉珍味」の旅でした。
ところが今回の部位は、どこの焼肉屋に行ってもお目にかかれる代物。しかも、特選カルビや上カルビと名の付く部位です。美味しいのは当たり前なのです。
しかし、実際にそのカルビがそもそもどこの部位で、カットされる前はどんな姿をしているのかを知っている人は意外に少ないのではないでしょうか。実は私もその一人でした。

安堂光明会長が冷蔵庫から持ってきてくれたこの肉塊こそが、まさしくカルビとして店で供されるお肉の原型です。
そもそも「カルビ」とは、韓国語で助骨(あばら)を意味します。つまり、肋骨周辺のお肉のことをいわゆるカルビと呼んでいるようです。

▲三角バラ(ジャージー牛、雄・去勢、右の枝肉)

「ここがアバラ骨があったところで、この間が中落ち。ここをカットして…」と会長はカットの方法を教えてくれました。
要するに、三角バラには中落ちも付いてくるという幸運。なので、今回は中落ちを取り外して、次のコーナーに回すことにしました。

▲三角バラから中落ちを外しているところ

焼肉、特選カルビと普通のカルビ

▲中落ちを取って、分割したところ(右端が最も美味しい部分)

まずは、焼肉にしてシンプルな味を試してみることにしました。
調べてみると、幅が広くなっている方(写真では向かって右側)がサシが多くて美味しいとのこといわゆる特選カルビです。右から左へ、特選、上、普通となります。そこで今回は、右端と左端を食べ比べてみることにしました。

▲三角バラの焼肉用(手前が特選カルビ、奥が普通のカルビ)


まずは特選カルビからいただきました。肉厚に切ったにも関わらず、柔らかな食感で、噛むほどに肉のうま味が口中に広がります。まさしく、「今日はごちそうだ!」と財布を握りしめて焼肉屋に行ったときの高揚感です。サシもよく入っていて、脂にもうま味があります。
そして、いよいよ、三角の先が細くなった方の普通のカルビをいただきました。見た目にもサシは入っていません。しかし、やはりこれもまた意外にやわらかくて、美味しいのです。噛むほどに味わいが広がるではありませんか。
「こっちも美味しいですねぇ」と食いしん坊のスタッフもニコニコしています。

もちろん、サシが多く入った特選は特別な美味しさでしたが、普通のカルビも負けていません。いやいや、赤身でさっぱりした味わいが好きな記者の場合は、むしろ三角の端っこを美味しいと感じました。どうも記者の味覚は、安上がりにできているようです。

贅沢三昧、カルビステーキ

せっかくだからと、細かく切るのをやめて、ステーキにしてみました。塩と胡椒だけの味付けにして、焼き加減はレアです。

▲三角バラ(カルビ)ステーキ

厚めにカットしたものを口に入れると、さらにお肉の生々しい味わいが広がりました。少し焦げた表面とレア肉のコントラスト、さらにニンニクの風味が混ざり合って、なんとも表現のしようのない美味しさです。試食した皆が笑顔になりました。

賄飯にカルビ丼を

三角バラの真ん中あたりのところ、いわゆる上カルビを贅沢に使った丼を作って、スタッフたちのまかない飯にしました。味付けには、安堂畜産特製の焼肉専用タレ(しょうゆ味)を使用しています。

▲上カルビの贅沢丼(味付けは、特製・安堂畜産の焼肉専用タレ)

カルビでご飯を包み込むようにして口に入れました。カルビの肉汁と醤油ダレがごはんに染みこんで、得も言われぬ美味しさです。玉ねぎもまた良い仕事をしてくれています。スタッフ全員、おなかいっぱい食べて、午後の仕事に向かったのでした。なお、全員がニンニク臭かったのは言うまでもありません。
今回は三角バラを堪能させていただきました。美味しさに定評のあるジャージー牛だったこともあり、三角バラの端から端まで、とても柔らかく、美味しくいただきました。特に記者は、サシが少なめの所(写真の左側)の意外な美味しさに驚いたのでした。

さて、今回、取りおいておいた中落ちは冷凍室で眠っています。次回はこれをどんな料理にしようかと、今からわくわくしている記者なのです。

では、牛肉珍味の旅はまだまだ続きます。