発見! 瓦(カワラ)が、こんなに美味しいなんて!?

「カワラという部位があるが、試してみるかね」と安堂光明会長が冷蔵庫から持ってきたのは、およそ1kgの肉片。
「形が瓦に似ているからその名が付いたらしいよ」。確かに、少し厚みがありながら、平べったい形がどことなく瓦のような気がします。
このカワラは腕の肉の一部です。この部位の先に、焼肉でよく聞く「肩ロース」がつながっているのです。
「見かけは柔らかそうだが、ちょっと硬さがある」とのことでした。

▲カワラ(ウデ肉の一部)

さて、どう料理したものかと、インターネットで調べますが、それを使ったレシピは皆無でした。そこで、いつものようにまずは焼肉を試してみることにしました。

硬いのではなくて弾力がある

脂身は少し削いでから、肉の筋を断ち切るように、薄めにスライスしました。なにせ瓦です。安堂会長からも「ちょっと硬いかも」と聞いていましたから…。

▲焼肉用に筋を断つように薄くスライスしたカワラ

さて、少しあぶった程度で塩・胡椒だけでいただいてみました。すると、意外や意外。適度な弾力はありますが、硬くはありません。これは切り方がうまくいったのだと、悦に入りました。
そして、食べているうちに気付きました。この弾力がなかなか良いのです。噛むほどに肉汁がにじみ出る感じがします。
焼肉屋さんでも、焼肉として提供されることはほとんどないと聞きますが、記者はカワラの焼肉、とても好きになりました。

青椒肉絲/チンジャオロースに挑戦

適度な弾力があるお肉だから、細く切って炒めたらどうだろう。ということで、チンジャオロースに挑戦しました。
定番のピーマンと竹の子の水煮を炒めたら、醤油と酒に漬けておいたカワラをフライパンに投入。もちろん、カワラは肉筋を断ち切るようにスライスしてさらに細長く切りました。仕上げに醤油とオイスターソースをちょっと絡めたら出来上がりです。

▲カワラを使った青椒肉絲/チンジャオロース

ピーマンと竹の子のシャキシャキした食感に加えて、弾力のあるお肉がなかなか合います。しかも噛むほどに肉の味わいがお口に広がります。ご飯に掛けて食べれば、いくらでも食べられる。これからの暑い夏に持ってこいのスタミナ料理になりました。

キムチスープにしてみた

適度な弾力とうま味があるから、スープの具にしてみたら、美味しいのではないか。そんなわけで、キムチでピリッと辛いスープを作ってみました。
やはり肉筋を断つように切ったカワラを、ゴマ油と共に炒めながら、途中でキムチやニンジン細切りなどを入れます。そして、水とお酒で2~3分くらい煮込みました。これに、隠し味の味噌と醤油、おろししょうがを入れ、最後にもやしとネギを投入。さっと火が通ったら完成です。

▲カワラのキムチスープ

スープをすすると、キムチの風味と共に、お肉のうま味を感じます。そう、カワラから良い出汁が滲み出ているのです。もやしのシャキシャキとカワラの弾力のある食感がとてもマッチしています。気づけば、汗をかきながらもスープまで完食していました。

瓦(カワラ)がこんなに美味しいなんて!? これは発見です。
ただ、残念なのは、「カワラ」としてスーパーの店頭に並ぶことはほぼないとのこと。ウデ肉のなかに混ざっていることはあるようです。
願わくば、この記事がきっかけになって、カワラとして店頭に並ぶ日を待ちたいと思います。

では、牛肉珍味の旅はまだまだ続きます。