牛画像 牛ホルモン画像

牛タタキの副産物(外モモのスジ肉)が、美味!

「これはね、牛のタタキを作るときにできる。いわば、副産物だな」と、安堂光明会長は、冷凍された皿状の肉を記者に手渡しました。

スジ肉冷凍

牛のタタキの製造方法は、2011年の食中毒事件をきっかけに、厚労省からの規制を受けるようになりました。タタキは生食の範疇となり、それまでの表面を油で揚げるだけでは許可は下りず、60℃のお湯によって2分以上加熱し、厚さ1cmまで熱を加えることが強いられることになりました。
しかし、2分間ボイルしたのでは従来の香ばしいタタキにはなりません。そこで安堂畜産では、独自に製法を生み出して、規制をパスしながらも、香ばしい牛のタタキを開発することに成功しました。それが、湯煎した後のお肉を1cm程度削いだ後、油で揚げるという方法です。
当然、お肉は小さくなり、手間もかかり、販売価格も上げざるを得ません。それでも、安堂のタタキを愛するお客様は、再び店頭に並んだ牛のタタキを我先にと買い求めたのでした。(詳しくは「安堂グループの歴史物語 第25話「牛のタタキを救え!」26話「復活!牛のタタキ」

スジ肉 スジ側
▲スジと脂が付いた外側
スジ肉 肉側
▲お肉が付いている内側
スジ肉 カット
▲下処理のために適当な大きさにカット

この板状の肉は、肉塊(外モモ)を湯煎した後に削ぎ落したもの。これまでは廃棄されてきた副産物です。断面を見ると白い脂の層と透明感のあるスジの層、そして赤身の肉の層、が確認できます。この副産物を、安堂畜産ではそのまま冷凍して、肉のこーべや玖珂店(安堂グループ直営)で販売することになりました。
ところが、これは湯煎してあるとはいえ、硬いスジがあって、とてもそのままで食べられません。ラベルにはボイルとか湯煎などと表示したとしても、ほぼ生に近いスジ肉と言って良いでしょう。
今回はこれを食材に、美味しい食べ方を探ることにしました。記者は骨やスジに付いたお肉が大好物です。わくわくしながら料理を始めたのでした。

圧力鍋で煮込む(下処理)

3分程度ボイルした後、流水でキレイに洗って、圧力鍋に投入しました。たっぷりの水で浸して、長ネギの青いところとショウガ、ニンニク、そして日本酒を入れて加熱します。圧力がかかったら、弱火で15分程度加熱。そして圧力が下がるのを待ちました。少しスジのコリコリした食感が残る程度が記者の好みです。
ここで大切なのは、圧力鍋で煮込んだ出汁は絶対に捨てないこと。これからの料理になくてはならない出汁なのです。

そのままスライスして「すじポン」に

薄くスライスしてポン酢で和え、ネギと七味をのせたら「すじポン」の完成です。

すじポン
▲すじポン

透明感のあるスジにお肉が縁取るように付着しています。口に入れると、コリコリした食感。そして味わい深い赤身肉のうま味が口に広がりました。ビールや日本酒の肴に最高ですね。

旬の大根で「すじ大根」

記者の家の畑から採ってきたばかりの大根で「すじ大根」を作ることにしました。下処理して出汁を残したままの圧力鍋に、きちんと面取りと隠し包丁まで入れた大根を投入。みりん、砂糖、醤油、そしてちょっとだけ出汁調味料を加えて弱火で圧力を加えること5分程度。その後、圧力が十分に下がるまで放置したら完成です。

すじ大根
▲すじ大根

大きめにカットしたスジ肉ですが、口のなかでほろほろする食感になっていました。お肉にはしっかり味が染みこんで、噛むほどにうま味が溢れます。さらに、大根の美味しさはもう、言うまでもありません。
なお試食後、2時間ほど鍋に放置した後で夕飯に供したところ、大根はさらに焦げ茶色に染まり、味わいも濃厚になっていました。時間が経つほど美味しくなるのが「すじ大根」なのです。

炊き込みご飯でコース完成

すじ大根を作る前に残しておいたスジ肉(下処理済)と出汁を使って炊き込みご飯を作りました。味付けにそばつゆを少し入れて、シメジとゴボウを載せて炊くだけの手軽さです。
満を持して炊飯器を空けると、なんとも香ばしい湯気が立ち込めました。よく混ぜて、いただきます。

スジ肉の炊き込みご飯
▲スジ肉の炊き込みご飯

スジ肉のコラーゲンがゼラチン状になっていて、その粘っこさに、思わず「えっ!もち米を入れた?」と思ったほど。このゼラチンとお肉が相まって、独特な食感を生んでいました。
味付けが少し薄かったなと、最初は悔やみましたが、すじ大根と合わせるには最適な塩加減でした。やはり、スジ肉を茹でた出汁が良い仕事をしてくれています。炊飯器の底にお焦げもできていて、極上の炊き込みご飯になりました。

牛のタタキの副産物とはいえど、モモ肉を従えたこのスジは、捨てるにはもったいない! しかも、少しですが湯煎してあるために、下処理でボイルする時間が短くても、ほど良い柔らかさになりました。もし、肉のこーべや玖珂店の冷凍コーナーでこれを見かけたら、ぜひとも試してください。副産物だから安く買えるはず。でも、中身は上質な外モモのスジ肉なのです。

では、牛肉珍味の旅はまだまだつづきます。