牛のタタキ、食べ方指南のはずが、驚きの大発明に!

「牛のタタキの食べ方がわからな人が、いるみたいだ」。
安堂光明会長は、少し戸惑ったような顔をしていました。聞けば、どうも若い人に多いのだとか。記者はその話を聞いて、ある事件を思い出しました。

▲安堂畜産の人気商品「牛たたき」

食中毒事件

かれこれ15年くらい前のこと、ある焼肉チェーン店でユッケによる食中毒事件が起きて、それからというもの、飲食店やスーパーの店頭から生で食べられるお肉は姿を消しました。その規制対象に、牛のタタキも入ったのです。
当時、牛のタタキは安堂畜産の人気商品でしたから、会社は大混乱に陥りました。結局、安堂畜産は規制基準をクリアーする調理法を試行錯誤すること1年以上をかけて、やっと再販売に漕ぎつけました。当時、牛のタタキの製造を許されたのは全国でもたった3社だけという難しさでした。(詳しくは「安堂グループの歴史物語 第25話「牛のタタキを救え!」26話「復活!牛のタタキ」
あの事件以来、安堂畜産の商品を除いて、牛のタタキがスーパー等の店頭で売られることはほとんどなく、食べ方を知らいないという若い人たちがいるのも不思議ではありません。
そこで今回は、安堂畜産のベストセラー「牛たたき」の食べ方を特集することにしました。もちろん、そんなことは知っている!とう通の方にも、喜んでいただける食べ方にも挑戦しています。

まずは、王道の食べ方

▲薬味は玉ねぎスライス、カイワレ、小ネギ、ミョウガ

 タレは濃縮麺つゆにレモン汁とゴマ油の混ぜ合わせ。好みでショウガ、ニンニクを足す
 牛たたき自体に味が染みているので、そのままでも、又は塩だけでも美味

薄くスライスした牛のたたきをお皿に並べます。記者の好みは、よく水を切った玉ねぎのスライスをお皿に敷き詰めた上に円形に並べるやり方です。スライスした玉ねぎも良い薬味になります。そして真ん中の空いたところに、薬味を載せます。
薬味で一般的なのは、小ネギ、カイワレ、季節によっては大根おろしもいいですね。記者が大好きなのはミョウガです。
タレも好みがわかれるところです。記者は色々な味わいを楽しむために、シンプルなもの(3倍濃縮の麺つゆにレモン汁とゴマ油を混ぜ、冷やす)を用意して、これにおろしたニンニクやショウガ、わさび等を付けて風味を変えて味わいます。
加えてお薦めなのが、あら塩です。安堂畜産の牛たたきには予め、醤油に胡椒、そしてニンニクの味わいがよく染みています。だから、そのままでも美味しいし、塩をちょっと付けただけで、旨いのです。

▲スライスしたタタキで薬味を巻いて食べるのがお薦め

さっそく、スタッフ数人と味わいました。まずはお肉だけをいただいてみると、周辺の焼けたところの香ばしさと中の方の生肉の美味しさが口のなかで混ざり合います。ほんのりと味が付いているから、これだけでとても美味しいのです。これに粗塩をちょっと付けていただくと、お肉の味わいがさらに際立ちました。
その後は、好きな薬味を巻くようにして、タレにもくぐらせて、楽しみました。数人で、色々な薬味や色々な風味のタレと合わせて、ああでもないこうでもないと好みの組み合わせを探るのも乙なものです。

実験、生のタタキと冷凍のタタキの食べ比べ

▲冷凍(左)と生、大きさによって値段も色々

肉のこーべや玖珂店(安堂グループ直営)では、生のタタキが冷蔵ケースにあるときとないときがあります。もし生がないときには、冷凍のタタキならほぼ常時、買うことができるようです。
さて、生と冷凍と、果たして味は違うのでしょうか?
両方を買ってみて、食べ比べてみました。すると、味わいはほとんど変わりません。どちらも変わらない美味しさでした。ただ、ほんの少しだけ、冷凍の方がぱさぱさした感じがしました。ただ、食べ比べてみなければわからないレベルだと思います。
結論としては、冷蔵が売られていて、すぐに食べるのならそちらがお薦め。しかし、わざわざそれが店頭に並ぶのを待つほどの違いはありません。

牛のタタキ丼

薄くスライスした牛のタタキを丼飯に贅沢にならべました。そこに、甘辛のタレをたっぷりかけます。タレは、特製・安堂畜産の牛焼肉用専用タレ・しょうゆ味(牛肉珍味の旅24)です。これにレモン汁を混ぜて少しさっぱりさせました。

▲牛たたきの贅沢丼

これはもう、間違いない美味しさ。ご飯がいくらでも食べられる。そんな食いしん坊が大喜びする贅沢な丼でした。

タタキでユッケを作ってみるという挑戦

そういえば、あの事件以来、ユッケを食べていないような…。そこで、ひらめきました。牛たたきでユッケもどきが作れるのではないか?

タタキを薄くスライスして、さらに懐かしのユッケのように千切りにしました。これに卵黄を載せてみると、ちょっとだけ焦げた肉片が顔を出していますが、ユッケのような見た目です。

▲牛タタキのユッケ(混ぜる前)

さらに、コチジャンを混ぜたタレを掛けて、卵黄もろとも箸でぐちゃぐちゃにしてみると…、どうでしょう。これはあの懐かしのユッケ、そのものではありませんか!

▲牛たたきのユッケ(混ぜた後)、見た目はまさしくユッケ。さて、食べてみると…!

味わってみて驚きました。ユッケの味わいを思い出したのはもちろん、あの生々しさが少しだけマイルドになっていて、記者にとっては本物を超える美味しさなのです。製造段階で元々付けられている味付けが良い仕事をしているのでしょう。そして、タタキの表面の焼けたところと生肉のところが混ざり合って、なんとも言えない味わいです。
そのままお酒の肴にも良し、ご飯に掛けて丼にするのも良し。これはまさしく、牛たたきの食べ方の大発明です!

実は、今回はすでに調理してあるものをスライスして食べるという企画なので、少しモチベーションが低かったのですが、侮るなかれ。牛タタキの美味しさの再発見、さらには新しい楽しみ方を発明してしまいました。牛たたきでユッケ!ぜひお試しください。

では、牛肉珍味の旅はまだまだ続きます。