赤くて柔らかいホルスタインのトモサンカク
三角形のお肉
牛のモモ肉の一部をトモサンカク(友三角)といいます。その名の通り、三角形をしています。
そもそもモモ肉はソトモモ、ウチモモ、ランイチ(ランプ・イチボ)、シンタマという4つの部位に分かれ、そのなかのシンタマがさらに4つの部位に分かれます。
その一つがトモサンカクです。
モモ肉は赤身が多めですが、このトモサンカクはモモ肉のなかで最もサシが入りやすいと言われています。というわけで、どんな霜降り肉なのかと、ワクワクしながら包丁を入れました。
すると、どうでしょう。サシはほとんど入っていません。それもそのはず、このお肉は乳用種のホルスタインのもの。赤身が多くて脂肪が少ない品種です。
もしこれが黒毛和牛だったら、美しい霜降りに出会えたことでしょう。
記者は、霜降り肉も好物ですが、歳のせいか最近は赤身肉を好んで食べます。むしろ喜んで調理を開始しました。
赤身肉なのに…
まずはシンプルに塩・胡椒を振って焼肉に。サシが入らないモモ肉だから、少し硬いのかなと思うなかれ、ちょっと厚めに切っても柔らかくて食べやすい。しかも、赤身の旨味がお肉からジュワーと出てくる感じです。
ローストビーフにしてみた
赤味肉ならローストビーフが美味しいはず。
袋につめて、ニンニクをつぶし入れ、塩と胡椒とオリーブ油をいれたら、よく揉んで、お湯に入れて低温調理に挑戦。袋にたまった肉汁はソース作りにも使いました。
本当は1時間以上、冷蔵庫で冷やせばキレイにスライスできるのですが、記者は我慢できずに、温かいままでカット。温かいからなおさらでしょう。柔らかい食感のローストビーフが完成しました。
早速、スライスを一枚、頬ばると、柔らかさはそのままに、焼肉とはまた違った濃厚な味わいが口に広がります。さらに、肉汁で作った和風のソース(ワサビ入り)に漬けてみると、これがまた絶品。思わずご飯に載せて、ローストビーフ丼にして掻き込んだのでした。
端っこまで余すところなく
トモサンカクは三角形だから、ローストビーフの肉塊をとった後の端切れが残りました。そこで、牛丼ならぬトモサンカク丼をつくってみました。
安堂畜産特製の「牛焼肉用しょうゆタレ」を使用した丼が完成。そこで意外なことを発見しました。
三角形の端の方は、中の方に比べて肉質が固いのかなと思ったら、そんなことはありませんでした。
このトモサンカクは、端の方も中の方も変わらない柔らかさ。味の違いもないようです。
結局、隅から隅まで余すところなく美味しく平らげたのでした。
干肉にも?!
ちなみに安堂畜産では、この乳用種のトモサンカクを加工食品の干肉にも使用しています。
いつも同じ肉質の干肉を生産するために、トモサンカク以外は使っていないとか。
安堂畜産の干肉の美味しさの理由がここにあります。
では、牛肉珍味の旅はまだまだ続きます。