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煮込みだけじゃない! スネ肉の美味しい食べ方

今回はスネ肉です。人に例えるとふくらはぎのところ。前足のそれを「前スネ(マエスネ)」、後ろ足は「友すね(トモスネ)」と呼ぶそうです。肉の部位では、後ろに位置する部位を「友」と呼ぶからなのだとか。確かにトモサンカクは後ろ足のモモの付け根にある部位です。前もトモもスネ肉はどちらも運動量が多くて、筋肉も筋も発達しています。だから肉質も赤身で硬く、煮込むのが定番のレシピです。長時間煮込みことで筋がゼラチンになって、とろけるような柔らかいお肉になるのです。


そんなわけで、交雑種のメスのトモスネ1.4kgを安堂畜産で仕入れて、いざ調理開始です。
まずは、筋肉が大きく二つに分かれているので、そこで分割しました。平たくて大きな部分と丸い棒状になっているところ。その内、丸い方が比較的柔らかいとのことです。
まずは、平たくて大きい部分を使って料理開始。もう一方は取っておいて、後でどうやって食べるのかを考えることにしました。

硬いと言われるスネ肉で焼肉!

いつものように、まずは焼肉で試してみることにしました。硬いという話だから、できるだけ薄くスライスしてみました。

▲焼肉用に薄くスライス(筋が少し硬そうなイメージ
▲軽く炙る程度に焼いてみる

太い筋が見えるから、やはり硬いのかなと思いながら、炙る程度で食してみました。すると、どうでしょう。柔らかいのです。筋も少し歯ごたえがある程度でほどよい食感です。そういえば、モモ肉の一部で希少部位のセンボンを焼肉にしたときも、筋がありましたが、柔らかかった。筋にも硬いものと柔らかいものがあるのかも知れません。

定番の煮込み料理に挑戦

スネ肉と言えば煮込み料理ということで、今回はトマト煮に挑戦しました。
シンプルに材料は、分厚くカットしたスネ肉と玉ねぎ、そしてトマト缶。肉に塩・胡椒と薄力粉をまぶして、フライパンで焼き色を付けたら、玉ねぎと一緒に鍋に。赤ワインと水でじっくり煮込みます。1時間半ほど煮込むのですが、記者はその間に原稿を書き始めました。しばらくして気になって鍋をかき回そうとすると、あれ? ほんの少しですが、下の方が焦げているではありませんか! 味を確かめてみたら、まだ焦げの味はなかったので、セーフ。冷や汗をかきました。煮込み中に原稿を書いてはいけませんね。

▲焦げ目を付けたトモスネを赤ワインと水で煮込む

1時間半煮込んだところでトマト缶を投入してさらに20分くらい煮込んで完成です。もちろん、何度もかき混ぜて、焦げを防ぎながら…。

▲トモスネの赤ワイン煮

どうでしょう。この見た目にまずやられました。少し焦がしてしまったことなどもう忘れました。
お肉はというと、スプーンで簡単に切り分けられるほどにホロホロです。大きく肉片を頬張れば、トマトの酸味と相まって、それはもう幸せなお味でした。家族にも振るまうと、記者の高齢の母も、肉をお代わりしたほどでした。
やはり、スネ肉は煮込みが一番なのか?

オキテ破りのステーキ

焼肉にしたときに意外に柔らかかったことを思い出して、取りおいていた丸くて太い部位を厚切りのステーキにしてみようと思い立ちました。

▲ステーキ用に厚切りしたトモスネ
▲レアステーキ

まずは表面にさっと焦げ目をつけて、レアの焼き加減でいただいてみました。やはり、筋の硬さが気になります。肉自体も美味しいのですが、生肉のクセを感じました。
そこで、もう少し焼いて、ミディアムレアで試してみました。

▲ミディアムレア

すると、生肉のクセも消えて、香ばしい味わいです。硬さも適度な弾力があって、食べ応えがある感じ。筋も気になりません。噛むほどに肉汁がジュワーとあふれ出てきました。
スネ肉はよく動く部位だからこそ、うま味が強いと言われています。記者はサーロインステーキよりもこちらの濃厚な赤身肉の味わいが好みです。なんだかヒレ肉に、ほど良い弾力を付けたような感じさえしました。

肉質が硬いと言われ、ミンチにされることも多いスネ肉ですが、煮込めばまるでほほ肉のように美味しくて、ステーキにするとヒレ肉に噛み応えのある深い味わいを足したようになる。しかも、比較的安いのです。もし、店頭で見かけたら、これは買いですね。

では、牛肉珍味の旅はまだまだ続きます。