無角和牛VSジャージー牛 熟成肉ステーキ対決
安堂会長が冷凍庫から持ってきてくれたのは、2枚の冷凍ステーキ。
「これは、無角和牛で経産牛、おばあさん牛だな。こっちはジャージー牛で若い牛」と会長。
今回はこの二つを食べ比べることにしました。
熟成肉については、こちらに詳しく紹介しています。その開発秘話については歴史物語(第29話「カビが生えた肉塊」)に詳しい記事があります。要約すると、肉塊を約40日間、温度と湿度の管理の下で乾燥させることで水分を飛ばし、肉の旨味を凝縮させる手法(ドライエイジング)です。これにより、特に赤身の肉の旨味が増すとともに、硬い肉質も柔らかくなります。
両者の特徴
無角和牛は山口県内のみで肥育され、出荷は年間わずか50頭ほどの大変希少な品種。赤身が多くてヘルシーなお肉として最近特に注目を浴びています。安堂グループでは、この希少な品種を将来に引き継ぐため、主に流通面での取り組みを長年進めてきました。
※無角和牛の詳しい説明はこちら >
一方、ジャージー牛は主に乳牛として飼育されています。しかし、その肉質も比較的柔らかくて美味しいと言われています。同じ乳牛のホルスタインよりもサシが入りやすくて、食肉としても人気があります。今回のお肉も無角和牛に比べて、少しだけサシが入っているのがわかります。
つまり、赤身が特長の無角和牛と柔らかくて少しサシの入ったジャージー牛の対決ということ。さらには、無角和牛はお年寄り、ジャージー牛は若者。その違いもあって、ちょっと複雑な対決になりました。
肉の脂でさっと焼く
熱したフライパンに脂を引くことなく、まずは肉の周りの脂身からジュ~! すると、熟成肉らしいナッツのような香ばしい香りがしてきました。そして両面をさらっと強火で焼いて美味しそうな焦げ目がついたら完成です。
実食
まずはジャージー牛を試食。ジャージー牛の特徴そのままに柔らかな肉質。若い牛ということも柔らかさに関係しているのかも知れません。もともと美味しいと言われるジャージー牛ですが、熟成肉になってさらに濃厚な旨味を感じました。
次に、無角和牛を試すと、ジャージー牛に比べて歯ごたえがあります。お年寄りの牛の肉ということも関係しているようです。それでも、やはり熟成肉です。噛み切れないということはありません。奥歯で噛み締めてみると、ジュワーと肉汁が出てきました。これが美味しいのです。ジャージー牛よりもさらに濃厚でコクを感じます。噛むほどに旨味がにじみ出てきます。
軍配やいかに?
5人が試食しました。
単純にどっちが好きかという問いかけに対して、ジャージー牛が3人、無角和牛は2人という結果。多数決ではジャージー牛に軍配が上がりました。
ジャージー牛を選んだ理由は、「柔らかかったから」。
では、無角和牛を選んだ理由は、「少し硬いけど、美味しかったから」。
人の好みは千差万別です。
ちなみに記者は、無角和牛を選びました。噛むほどに味わい深い無角和牛が、やはり美味しかった。
冷凍コーナーに宝あり
さて、この熟成肉は、安堂グループ直営「肉のこーべや玖珂店」に品揃えがあります。冷凍品コーナーの一角に、どっさりあるので、選び放題。とても稀なことですが、無角和牛のシールが貼ってあるものを見つけたら、超ラッキー。この奥深い味わいを楽しむことができます。なお、無角和牛ではなくても、熟成肉は間違いなく旨味が凝縮された美味しさなのですが…。
ところで、「肉のこーべや玖珂店」では最近、冷凍コーナーも充実しています。前回試食したTボーンステーキはもちろん、皇牛のスネブロック、サイコロステーキの袋詰め、さらに超希少部位のミミクリ(「牛一頭にたった100gの宝肉! ミミクリ」)、ホルモンのミノなど…。
どれもおトクなお値段で、冷凍だから賞味期限が長いのもありがたい。記者は思わず晩酌用にミミクリを買って帰りました。次回は冷凍コーナーの何かを試してみようと思っているところです。
では、牛肉珍味の旅はまだまだ続きます。